自分で羊の毛を刈るところから始める人は少ないと思いますが、羊毛の原毛(フリース)が手に入る事は時々あります。
牧場や動物公園で飼育されている羊の毛を刈った際に頂ける事もありますし、インターネット通販で購入する事も出来ます。
状態は様々で、本当に「毛を刈ったそのままの状態」で届く事もありますし、ある程度ゴミを取り除いてくれている場合もあります。
簡単に洗ってくれている原毛もありますし、程度は様々です。購入する場合には状態をしっかり確認してから買わないと「こんなはずじゃなかった!」と、泣きを見ることにもなるかもしれません。
背中側の毛と、お尻、腹側の毛では汚れの程度も違いますし、羊の飼育環境によっても汚れの有無が違ってきます。
草原の牧場で飼育されている場合は、草や枯れ葉がついている事が多く、草の種が毛に絡んでいる事もあります。
コンクリート床で飼育されている羊ではワラの付着の他に、ふんの付着も見られます。
当たりはずれが多いですが、安い原毛ほど、なにか問題があると考えていいかと思います。
上の写真は左がわが尻尾方向ですが、羊が座る事でフェルト化している事がわかります。
ワラや草の上に座るので、汚れがたくさん巻き込まれます。
ゴミ・汚れ込みの重量で安かった場合でも、羊の毛には油がとても多く含まれていますので、洗う事で重量の10%程度の重さの油分が汚れとして流れてしまうと考えたほうがいいです。油って重たいんだなぁーと思わずにいられません。
手間をかけることが好きな人が汚れた原毛を買いたくなると思いますが、それは時間に余裕があり、手間をかけることが好きな人だけにしておいたほうがいいですよ、と、言わせてください。初心者の方ほど、最初はキレイに洗ってある原毛から始めたほうが、初回挫折する危険がなくなるのでいいかと思います。
さて今回私が手に入れた羊毛は、汚れの付着がひどく、自分で刈ることが前提で頂いてきました。草原で育った羊で、毛の脂分もすごかったですが、ヒツジのフケもかなりあり、とにかくひどいのは草の種でした。
通常、フンや汚れの酷い場所は捨ててしまうとの事ですが、私は「捨てるのがもったいない!」ともらってきたので、手間をかけるしかありません。
もらってきてすぐに洗えない場合には、チャック袋などのビニール袋に入れておかないと、ダニなどの寄生虫がついているので危険です。基本的に、吸血する虫だと思って対処しましょう。ビニール袋に入れて数日放置すると、吸血できずにしにます。洗う場合にも、ダニなどが生きていない状態になってからのほうが安心かと思います。
すぐに洗わない場合には防虫剤を入れておくと虫の卵が孵化しませんし、繊維がボロボロにされません。
洗い方については別記事で解説していますのでご覧下さい。
本来はゴミを取り除いてから洗うのですが、あまりにも汚れた状態でもらってきたので
先に洗いました。
かなり洗い、脱脂されましたが、まだフケや植物の種がついています。
状態により、ゴミを取り除いてからもう一度洗う予定ですが、脱脂しすぎても紡ぎにくいので注意が必要です。
でも今回は汚れがひどすぎて、脂が抜けるとかそういう問題ではありません・・・。
フェルト化してかたまりになっている毛を、まずは手で優しく広げていきます。
洗った直後にゴミを取り除くと、指先が濡れてやる気がそがれるので、乾かしておきましょう。
濡れた繊維は傷つきやすいですし、切れやすいです。
目の大きいザルにいれておくと、一部のゴミはザルの下に落ちるので、その分作業が楽になります。
向こうが透けて見えるくらい薄くのばすとゴミが見つけやすくなります。
光の方向に向かって作業しましょう。光を背に作業すると、手が暗がりになり、ゴミが見つけにくいです。
ピンセットかとげ抜きを使ってひとつずつつまんで取ります。
大きさ2ミリくらいのゴミをちまちまと取るのは本当に根気のいる仕事です。
たまに嫌になって、汚れた原毛ごと捨てたくなりますが、捨てた後に改心し、また拾ってゴミを取り除いています(笑)
ちなみに、外を歩いて帰ってきた猫がくっつく草の種をつけてきた場合には、ノミ取りクシで簡単に取る事ができるんですが、ヒツジの毛は縮れて絡んでいるので、思うように取れません。
簡単に取る方法が見つかれば記事内でお知らせしますね。
草の種が取れた毛は別のカゴに入れておきます。これはジャコブ羊の毛です。